建設工程の第三者チェックを行い、建築偽装・手抜き工事を防ぐ
単独の建築設計事務所が新築プロジェクトに関わる割合は、国内年間着工数のわずか3割程度との統計があります。リフォームや店舗などの内装工事にいたっては、もっと少ないでしょう。つまり、日本ではほとんどがハウスメーカーや不動産会社、施工会社主体によるプロジェクトなのです。これには設計事務所の内向的な業界体質など、反省すべき点が多々あります。
しかしこの数値から読み解くべきは、ほとんどの案件において、設計者と施工者が同じということは、第三者によるチェック機能が全く無いという点なのです。
海外や日本の官公庁発注業務においては、設計者と施工者が同じという発注形態は基本的にありません。複数の企業が関わることで、相互チェック機能を果たしているのです。
対して、日本の一般的な建築においては、設計者と施工者が同じなのです。これは、日本には昔から信頼できる施工者や職人さん達が沢山いて、第三者によるチェックがなくとも成り立ってきたという、日本ならではの「性善説」に基づいた特殊な文化があるからでしょう。
本来は「良心」「技術力」「信頼」と発注形態とは関係のないものです。昨今、建築偽装・手抜き工事の発覚が相次いでいますが、そのほとんどが「建築偽装をしよう」「手抜き工事をしよう」と思って建築をしているわけではないはずです。しかし、複雑な建設工程においては、良心や信頼とは関係なくミスがつきもの、というのが現実です。
このような意図せぬミスを、施主さま側の立場において第三者によるダブルチェックができる専門家は、建築士・建築家だけです。建築士・建築家を工程に組み込む事は、ミスを極力なくすための方策の一つとなります。
ミッション(企業理念)とビジョン(行動指針)
平成11年以前に「建築完了検査済証」を取得している建物は、全体の3割程度です(※1)。その数字と「年間着工数に対して設計事務所が単独で関わっている件数」が一致をしていることは、私たちは見逃すことができません。
完了検査を受けていないということは、出口戦略においても多大なリスクになります。容積率オーバー、違法増築や用途変更をしない改築などの違法建築については、金融機関は融資を行いません。仮に物件を持ち続けるつもりであっても、土地活用において金融機関からの融資が受けられないということは、資産価値の大幅な損失となり、他の資産形成にも大きな影響を与えることになります。
このような状況になるのは、事業主の立場で助言をする専門家が側にいない、というのが大きな原因です。建築に関わるさまざまな問題について、事業主の立場で協力ができる専門家は、設計者以外にはいないのです。
トチタテモノは、事業主が目的を達成するために、常に事業主様と同じ方向を向いて企画段階から参画いたします。
建てたら終わりではなく、運営から出口までトータルにサポートいたします。
※1 参考文献:検査済証のない建築物に関わる指定検査期間を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン(平成26年7月国土交通省)